中野北溟記念北の書みらい賞の第5回目の選考会が6月18日に札幌市内で行われ、最高賞の大賞には石原伸弥さん(幕別町)の作品「風神雷神」、奨励賞には久保奈月さん(月形町)、杉村帰心さん(旭川市)、髙嶋星那さん(帯広市)の3人の作品が選ばれた。
同賞は、日本を代表する書家中野北溟氏(留萌管内羽幌町焼尻島出身、札幌市在住)の功績を記念し、未来の北海道書道界を担う若手書道家の育成・支援事業として特定非営利活動法人北の書みらい基金が創設し、2021年から毎年春に選考会を行ってきた。
大賞受賞者には50万円、奨励賞受賞者3人には各20万円の奨励金が贈られる。贈呈式は8月2日に札幌市内で予定している。
大賞、奨励賞計4点は、前回受賞者4人の作品とともに7月30日から8月3日まで、DO-BOX EAST(札幌市中央区大通東4丁目1番地 北海道新聞社ビル1階)で開催する受賞者展で展示する。時間は午前10時から午後6時(最終日は午後5時終了)まで。入場無料。
「風神雷神」 石原伸弥
屏風 六曲一隻 182cm×546cm
「心 ‐heart of mine-」 久保奈月
90cm×220cm
「永遠(ランボー)」 杉村帰心
117cm×117cm
「翔」 高嶋星那
137cm×70cm
本賞は北海道在住の50歳未満(2025年1月1日現在)の書家が2024年に発表した作品を対象とし、選考は学識経験者、美術関係者らで構成された選考委員会(札幌芸術の森美術館館長・佐藤幸宏氏)が行った。各選考委員は今年4月までに1人5点以内の候補作品を推薦した。今回の選考会では候補作品16人17点を展示し、選考を行った。
選考会出品者(50音順、敬称略、在住地は2025年3月現在)
石原伸弥(幕別町)、入船心太朗(占冠村)、梅津康寿(北広島市)、岡村果鈴(函館市)、押上万希子(滝川市)、久保奈月(月形町)、佐久間唯(札幌市)、杉村帰心(旭川市)、髙嶋星那(帯広市)、高橋陽子(清水町)、棚田優花(増毛町)、土井一剛(札幌市)、土井伸盈(札幌市)、永井雪陽(登別市)、宮﨑杏(倶知安町)、山田このみ(旭川市)
選考委員長
佐藤幸宏氏(札幌芸術の森美術館館長)
選考委員(50音順・カッコ内は2025年4月現在の役職・肩書き)
阿部典英氏(美術家・北海道文化団体協議会名誉会長)
笠嶋忠幸氏(出光美術館上席学芸員)
古家昌伸氏(編集者、アートライター)
齊藤千鶴子氏(北海道立釧路芸術館学芸主幹)
日本を代表する書家。毎日書道会最高顧問、創玄書道会最高顧問、日展会員、北海道書道連盟顧問、天彗社代表。札幌市在住。
1923年7月31日、北海道苫前郡焼尻村(現在の羽幌町)生まれ。北海道第三師範学校(現在の北海道教育大学旭川校卒業。豊富、稚内、旭川、札幌で教員を務めながら毎日書道展、北海道書道展などに出品し、審査会員として活躍する。
79年札幌市立札幌中学校校長を早期退職し、書に専念、海外でも作品を発表する。90年北海道新聞文化賞受賞、99年毎日芸術賞を岡井隆氏、河野多恵子氏、蜷川幸雄氏、高倉健氏らと受賞。2005年東京日本橋三越、09年北海道立近代美術館で個展開催。
長年、日展、毎日書道展、創玄展など、全国トップクラスの書展で作品を発表するとともに、北海道書道展、北海道書道連盟では理事長など役員を歴任し、北海道書道界の発展に寄与してきた。
中野氏は師の金子鷗亭氏からの上京の誘いを断わり、札幌で書活動を続けてきた。太平洋戦争中の一時期(久留米予備士官学校)を除き、北海道を離れることがなかった。スポーツの才能にも恵まれ、テニス選手として国体に出場している。
25年4月18日、札幌市教育文化会館に「中野北溟記念室」が開設された。「書の北溟記念室」(羽幌町中央公民館)に続き2か所目の常設展示施設となった。